いりおもている

西表島 + TALE = いりおもている。西表島へ移住するケツイをみなぎらせた男が、島の生き物や生活のあれこれについて書き綴るブログです。

西表島に棲む日本最大級のクモたち

クモが嫌いだという人は多いと思う。

自分も昔は嫌いだったので気持ちは分かる。昆虫以上に多い脚、糸が張り付く不快感、一部のクモが持つ敏捷性…と、苦手になっても無理はない要素がこれでもかと詰め込まれてるからだ。

しかし益虫としての側面が大きい事を知り、カッコいいと感じる種を足掛かりにして、様々な種に対してその良さを感じるようになっていきました。

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大食漢で大型になるサンタレムピンクヘアード

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 鮮やかな青色が綺麗なサジマイブルーバードイーター

その後内地にいた頃はなんとタランチュラを飼育するまでに克服。

日本のクモとはかけ離れたその巨体やフサフサの毛、鮮やかな体色などクモ嫌いなら発狂しかねない要素が魅力に感じるようになるとは正直思ってなかった。

 

 

ところで日本にタランチュラはいないが、レッグスパン(脚の先から先までの長さ)だけで言えばそれらに匹敵する国内最大級のものが数種類いる。

その中で最も有名だと思うのが、内地でもお馴染みのアシダカグモ

 

f:id:Mattsunkun:20181014204342j:plainその大きさや尋常じゃないスピードは見る者に衝撃を与え、また「軍曹」という愛称で存在を知る人は多いのではなかろうか。写真の個体はまだまだ小さいけど、それでも他のクモ達と比較すると飛び抜けて大きい。

 

巣を張らずに狩りをする徘徊性のクモで、時にゴキブリをも凌駕する速度で獲物を仕留める筋金入りのハンター。食餌中に新たな獲物が現れるとそれに襲い掛かる上、ゴキブリやハエのみならず小さなネズミすらも捕食する事があるなど、人間にとってこの上ないほど有益であるにもかかわらず、上記の特徴から不快害虫とされる事もあるという非常に不憫な生物でもある。

「ゴキブリを駆逐してくれる存在だけど、ゴキブリよりもキツいビジュアルなので殺しました」なんて例もある始末。流石に泣けてくる。

 

いや、まあ分かるよ。

写真の個体も越して来て2日目に家の壁にへばり付いてたのがファーストコンタクトなんだけど、 電気を点けたら目の前にいて叫んだのはよく覚えてる。いくらタランチュラを飼育していた過去があるとはいえ、これが同じ部屋にいるのはちょっとキツいなぁ…と最初は思った。

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しかし慣れればどうという事はない。更に小さいけど。

風呂場にいたのを摘まみ出す程度はもう訳無いです。寧ろコイツがいる事でゴキブリを見る機会が減るんだという安心感すらあるwww

事実コイツとヤモリが放し飼い状態になっているからか、部屋で大きなゴキブリは一度も見た事が無い。いつも警備ありがとうと言いたい程に助けられているので、不束者ですが今後ともよろしくお願いします。

 

 

 

そしてもう一種、ここ西表島を含む南西諸島には対抗馬となりうる大きさのクモが棲息している。オオジョロウグモである。

 

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アシダカグモが巣を作らない徘徊性のクモであるのと対照的に、こちらは巣を張って獲物を捕らえる造網性と呼ばれるクモ。

仕事中だったので遠くから裏側を撮るしか出来なかったけど、毒々しい黄色と黒の斑模様、そして長い脚の存在感は何となく伝わるでしょうか。あっやめて仕事しろとか言わないで

後日綺麗な写真が撮れたら差し替えます。

 

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ようやっと正面から撮れた!

これまでに見た個体の中でも最大で、やや黒が多めか。

黒を基調とした体色に赤い触肢、そしてモンスターエナジーの缶みたいなラインが入った腹部の組み合わせが最高にカッコいいですね。

(2018.11.11追記)

 

 

このオオジョロウグモだが、全身が黒一色に染まった黒化型と呼ばれるタイプが稀に見付かる事がある。そしてこれが更に滅茶苦茶カッコいいのである。

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ババン!!!

  

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超カッケー!!!そんでもって、でけぇ!!!

通常色とは打って変わって艶々で光沢のある黒に染まった全身、長く鋭利な脚はまるでコレとかコレを連想させる。

歩く際は常に糸を出し続けているんだけど、この糸も非常に強靭で外すのに少し難儀する。昆虫どころか小鳥やコウモリすら捕食した例があるというのも納得。コイツの巣に顔から突っ込むのはあまり考えたくない…

 

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ところでこの写真、オオジョロウグモの躰の上に小さな赤いクモが乗っているのが分かると思いますが、何とコレオオジョロウグモのオス。クモ類はオスよりもメスの方が大型化する傾向にあるが、ちょっとこの体格差はチョウチンアンコウくらいしか例を知らないwww

交接の際もメスが察知した瞬間に喰われるらしい。男に生まれてよかった!と思う事はかれこれ何度かあったけど、オスに生まれてしまった結果こんな命懸けの生活を強制されているオオジョロウグモのオスは泣いていいと思う。ある意味究極のかかあ天下である。

 

 

 

無駄に長くなりましたが、こんな魅力的なクモがいる西表島はいいぞ!

沖縄本島石垣島にも棲息しているので、生き物好きな方、物好きなマニアは是非一度は実物を見て頂きたい。