憧れの蛇・サキシマバイカダを4度目の出会いでとうとう拉致した話
深夜0時過ぎまで寝落ちしていたある日のこと。
酸っぱいジュースが無性に飲みたくなるも、冷蔵庫に入っているのはウーロン茶のみ。スーパーも閉店。コンビニなんてこの島にある訳無し。という事で自販機へ。
ちょうどこの日は日中ずっと大雨が降っていたせいで道路はビチャビチャ、高温多湿だしヘビやカエルも沢山出てるんじゃね?と思い観察がてらドライブする事にしました。
案の定カエルが沢山轢かれているものの、その割にはヘビがいないなー、なんて考えていた矢先、対向車線に細長い影。
え、ちょっと待てコイツは・・・!!
すかさず車を降り捕獲!改めて車内で姿を確認する。
間違いない!!サキシマバイカダだ!!
イワサキセダカヘビ等と並んで四大珍蛇とも称される樹上棲のヘビで、準絶滅危惧種にも指定されている希少種。ただ数も勿論少ないとは思うけど、実際は夜行性かつ樹上棲で目に付く機会が限られてるのも大きいんじゃないかなあ。四大珍蛇の中では最も遭遇しやすいと思います。
「 幻のヘビ」とも言われる日本固有種のシロマダラに一見非常によく似ており、実際同じDinodonことマダラヘビ属とされていた時期もあるらしい。
現在はLycodonことオオカミヘビ属に分類され、英名もSakishima wolf snake。
日本に生息するのはこのサキシマバイカダのみ、ペットとしてもかなりマイナーなグループゆえ全然一般的ではないので、オオカミヘビなんて聞いた事ねーよという方も多いでしょう。
どの辺がオオカミなのかパッと見では分かり難いですが、その由来は口の中。上下どちらかの顎に牙状の鋭い歯を持つことから命名されたそうです。学名のLycodonも「狼の歯」という意味なんですよね。キバヘビみたいに直球じゃなくて、わりと素敵なネーミングセンスだと思います。
サキシマバイカダにもこの特徴があるのかは不明ですが、他のオオカミヘビ属と同じでヤモリやトカゲを好む食性のため、この牙を用いて獲物を捕食している可能性は大いにあると思います。
こじ開けて観察するのが手っ取り早いですがそれは断念。こんな華奢な蛇、素人の自分が手荒に扱えば簡単に顎の骨が砕けそうだし…
講釈垂れもこの辺にしておいて、オタク君の自分語りに切り替えます。どうあがいても絶望
初めてこの蛇に出会えたのは越して来てから2ヶ月後。
今思い返してもこの島で一番喜んだのは間違いなくこの瞬間でしょう。何せ旅行で訪れていた時から一番見たかった憧れの生き物でしたから、嬉し涙を流して叫んだのはよく覚えてますww
今回バイカダを見付けたのは記事タイトル通り4回目ですが、それまでは
・発見の感動でそんな事まで頭が回らなかったり
・当時まだ持ち帰って飼育する気が無かったり
・保全活動中で持ち帰る訳にもいかなかったり
で写真を撮ったり軽く触るだけでしたが、ここ最近になって「やっぱりコイツ飼いたい!」という思いがどんどん膨らみ、ついには「次に遭遇したら持って帰る!」と言いだして数ヶ月後、ようやくその時がやって来ました。
共通点は毎回バイカダを探していない、または出会えると思っていない時に発見している事ですね。情けない
都内で爬虫類を飼育していた時にも勿論飼いたい気持ちはありましたが、如何せん餌用ヤモリの調達はネズミと比べると圧倒的に面倒だったんです。
しかしここは西表島。夜になると街灯周りや民家の塀、夜の森、果てには家の中までそこらじゅうに現れるのであの時とは比較にならない程確保が容易。この環境が後押しした点が非常に大きかった。
とりあえず帰宅後すぐあーでもないこーでもないと言いながら、2時間半悩んでケージ含む飼育用品一式をポチる。先に設備を整えろと普通に叩かれそうですが、中プラケ程度のサイズの容器があるので一週間だけこれで代用します。気付けば夜が明けかけていたので寝る。
翌日、西表島にヤモリを袋に詰めて徘徊する不審者現る。
本来導入したばかりの生体に餌を与えるのは是としませんが、ヤモリ偏食ヘビの給餌ペースがいまいち分からず、食い気の有無も知りたかったので物は試しです。
まずは1匹入れてみるものの反応が無い。
やっぱりいきなり環境が変わっては難しいか…と思った瞬間、ヤモリの動きに反応して首をもたげ、しきりに舌を出し入れしだした。
あ、これ食うわ。
そう確信してもう1匹のヤモリを箸で挟んでチラつかせてみる。
はえーよwwww
樹上棲かつ偏食、そんな蛇絶対に繊細だろうと踏んでいたのに予想外すぎる結果と呆気無さに爆笑してしまう。勿論たまたま飢えてただけかもしれませんが。
獲物を呑み終えたのを確認し、何はともあれホッとした気持ちで風呂に入る。そして上がってすぐ吐き戻しが無いかチェック。
あれ???
俺ヤモリ2匹捕ってきたのにもう1匹も消えてない???
よほど胆が据わっているのか、飢えているのか、或いは。
ただ餌を食べたからと言って安心は出来ません。まだ飼育とは程遠いストックに過ぎない段階なので、すぐ異変に気付けるよう毎日しっかり観察しようと思います。
何かあればヤバくなる前に捕獲場所に逃がしますが、次の更新では水槽に入ったバイカダをお見せできるように頑張ります。