銀鱗に身を包む古代魚・パシフィックターポン
憧れの生き物が沢山棲息している西表島。
移住を始めて2ヶ月半が経過しましたが、昔から見たかった生き物たちが着々と見付かり、また新たな目標となる生き物たちもどんどん増え、非常に充実した生活を送ってます。
書きたい事は色々あれど、なかなか更新されないのは通信速度制限と怠慢というしょっぱい理由であります。
そんな中でもここ最近、去年の旅行時から釣りたくて仕方なかった魚のルアーフィッシングがマイブームになっているので、今回はその魚について紹介したいと思います。
それこそが知る人ぞ知る魚・パシフィックターポン。以下ターポンと呼称する。
標準和名イセゴイ。
…なのだがコイの仲間でもなければ、伊勢に多く棲息してる訳でもない。寧ろ日本では南西諸島に最も多く棲息している。(イセの意味は似非、或いは磯の訛りである等諸説あり)
見た目をざっくばらんに説明するなら重装型ニシン(特大)という感じだが、体の随所に原始的な特徴を残し、太古の祖先から殆ど姿を変えずに生き延びてきた古代魚であるというから大変興味深い。その身体的特徴については後述。
勿論ニシンとは縁が程遠い魚なのだが、こんな見た目にも拘らず寧ろウナギの方が近縁であるらしい。実際ウナギと同じくレプトケファルスと呼ばれる透明で平たい仔魚期を経て、更に両者ともカライワシ上目に含まれるという。
ニシン似の外見でウナギに近縁の古代魚…ちょっと情報量が多すぎませんか。
そんなターポンだが、ひょんなことから自宅からそう遠くないポイントで釣れることを知る。時合は数十分、しかも回遊はランダムだがフラッと出掛けてサクッと楽しむのには丁度いいとも言える。
この日も回遊が確認できたので早速ルアーをキャスト!すると早速手応えを感じた。
…しかしこのターポン、見た目に反してアタリがかなり小さい。
リトリーブしているとコツン、コツンと手元に伝わる程度で、言うなればブルーギルがワームの端を引っ張って行くような感覚である。何故こんな強そうなナリでそんなに控え目なんだwww
そんな焦らしプレイのようなアタリを感じつつ誘いを続けていると、次第にアタリが連続しだしたりググっと重くなったりするので、ここでアワセをくれてやる。
コツコツコツッ
ビシッ
ググーッ
きたあぁぁぁぁ!!!!
ここからが本番。今までの微妙なアタリとは打って変わって、いよいよターポンも本気を出してくる。
縦横無尽に走り、何度も宙高く飛び跳ねて激しく抵抗するが、その際にルアーを吹き飛ばされたりラインブレイクさせられる事故が非常に多い。なかなかに手強いが、だからこそスリリングで激しいファイトが堪らない!そんでもって水面から覗く魚体も跳ねる姿も超キレイ!
最後の抵抗でもこれだけ飛びますか… pic.twitter.com/akVcAwrhVq
— まっつん (@matsukobonchan) 2018年11月3日
足元まで寄せてバテさせてもこれ位は普通に抵抗してくるので最後まで気が抜けない。
猛反撃をやり過ごし、 ようやくランディングに成功!
あぁなんて美しい。
青または緑がかった背中、両面はまるで金属で出来たかのような銀色の鱗に覆われる。
シャープなフォルムや鰭を見ると遊泳力の高さに納得させられる。
空気を浮袋に直接取り込んで呼吸する事が可能であり、アロワナのような上向きの口はその為の形状である事がよく分かる。コイツが来ている時は独特の波紋をモワッと立てる事があるんだけど、アレは捕食ではなく呼吸なんだろうか。
どうでもいいけどブラックバスみたいなニオイがするのは何でなの??
因みにこれで55cm。このポイントは先人曰くアベレージ50cmだそうなので、これでもまだまだ平均レベル。恐るべし西表島…
大きく、そして異常なまでに硬い口。ここにヤスリ状のザラザラした歯がびっしりと並ぶ。
これがターポンを釣り上げるのに手を焼く最大の要因であり、ルアーに喰い付いてもなかなか深く刺さらない。呑ませてしまえば話は別だが、そうすると今度はラインをこの歯でガリガリと擦り切られてしまい、バラシのリスクが非常に高くなる。
そこにファイト中やたらと飛び跳ねるターポンの特徴が抜群に噛み合い、釣り上げる難易度を飛躍的に向上させているのである。まさに鬼に金棒、ターポンにジャンプである。
しかし、だからこそ面白いと思えるのは釣り人の性かもしれない。
最後にこのターポン、非常に不味いことでも有名である。
様々なサイトでその悪評を散見するが、大多数の意見は
「身が滅茶苦茶柔らかい」「小骨が多い」「金属みたいな味がする」という、とてもじゃないが食指が動かないものばかりである。
でも中には普通に食えるというレポもあって(かなり工夫なされていたが)、自分でもチャレンジしてみようと思ってたんですよ。でもいざ蓋を開けたら前述のブラックバス臭だし、先人の食レポも
「クソ不味いですよ。こんな不味い魚、この島には他にいません…」というもので、気が乗らず未だにチャレンジ出来ていない。
もし釣り上げて再起不能レベルで弱らせてしまったのがいれば、いずれは試してみようかなと思ってます。
ターポンはイケメンで食えないヤツだった。
という事でここはひとつ。
因みにすぐ近くで美味い魚も釣れる。もう沖縄の魚は不味いなんて言わせない!